【蔵の移転:回想7】新蔵で初めての木桶の仕込み。酢蔵の新人、中森くん

2013年12月01日


それは木桶の引っ越しが本格化する直前のこと。先に運ばれた木桶への、酢の仕込み作業が行われました。新しい蔵での初めての仕込み作業。創業当時から受け継ぐ酢酸菌を、この新しい蔵の木桶に根付かせる作業です。無事に根付いてくれるのか、新しい蔵でココノヱ酢の味が受け継がれるのかが、この作業にかかっています。

この記念すべき初仕込みに、今年1月に入社したばかりの酢蔵の新人、中森くんも真剣に取り組んでいました。

食酢の製造部長、“あにさん”こと福本貢さんから指導を受けながら、中森くんよりちょっと先輩の浦谷くんともども、仕込み方を学びつつの初仕込みです。

旧蔵から運んできた2年熟成させた酒粕「ふんごみ粕」を湯で溶いて、アルコールや湯をさらに足して木桶を満たします。

「おい!手が止まってる。桶の底からまんべんなくかき混ぜながら温度を計るんや」「温度が下がってきてるやないか。はやく沸かせろ!」と、モーター音が響く中、あにさんの大声が二人にとびます。

なにせ大きな木桶です。木桶全体をまんべんなく発酵に適した温度に調節するのも一苦労。カメラを桶に向けると、むせ返るような湯気が桶の中から吹き出してすぐに曇ります。みな汗だくになっての作業です。

真剣なまなざしで、あにさんの言葉をもらさずに会得しようしている中森くん。あにさんの作業の様子をできるだけ近くで学ぼうと、すかさず隣のはしごに駆け上がり、前のめりになって見ています。見て、触って、感じて、匂いをかいで、味をみて、体全体で学ぶことが大事なことを、中森くんは気付いているようです。 

さあ、最後に酢酸菌を入れます。これが、旧蔵から運んできた酢酸菌。創業当時から絶やすことなく受け継いできた酢の種です。タッパに入れて運ばれていました。液体の中に浮いている白っぽい膜のようなものがそうです。

 

桶全体にまんべんなく広がるように、ゆっくりと酢酸菌の入ったタッパを回し入れます。「どうか、しっかりとこの桶で菌が根付きますように」。タッパをもつ手に、祈るような思いが込められているのが伝わってきます。

ひとつ先輩の浦谷くんも、負けじとひとつの桶の仕込みをまかされます。

さあ、元気に発酵してくれますように。新しい蔵で生まれる初めてのお酢のできあがりが楽しみです。

中森くん、今日の日のこと、忘れないでいてくださいね。主人が言っています。「期待の新人なんだからな」って。

 

 

 

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